(化学)
フラボノイドやビタミンEはラジカル補足剤として働くことが知られていますが、ラジカルを補足したあとのこれらの物質はどうなるんでしょうか?
より良いラジカル補足剤として働くために、分子内電子共鳴や立
体障害が重要であるということを良く聞きます。
ラジカル状態で代謝されてしまうのか、それとも分子内開裂を起こすのか・・
すいませんが、教えてください。
ヒンダードアミン光安定剤を研究
していた者です。
これらラジカル補足剤に有名な
人工合成物にBHTやヒンダードアミン光安定剤
があります。
これらは酸素吸収速度式、
-d[O2]/dt=k[O2]Ri/nKinh[Inhibitor]で表され
酸素吸収速度式は酸素濃度の1次に比例します。
つまり簡単にいえば揮発するようにメーカーが作って
いると考えてよいです。
事実、ラジカル補足剤で最も有名なHALS
(ヒンダードアミン光安定剤)の国内最大手の株式会社ADEKAの
実験報告でも初濃度に依存することなくある一定の時間で上記添加剤
が50%に減少し、揮発することが報告されています。
又、同社では揮発性を抑えるために高分子量のヒンダードアミン光安定剤
の研究開発をしております。ビタミンEはトコフェロールという物質で抗酸化作用
を示しますが、抗酸化ができなくなった時点で体外へ排出される報告もあります。
大手添加剤メーカー
株式会社ADEKA
チバ・ジャパン株式会社
堺化学工業株式会社
共同薬品株式会社
東レ・ファインケミカル株式会社
サンケミカル株式会社
で多くの実験報告があります。又、プラスチック添加剤で検索して
みても同様の報告があるでしょう。
(参考文献:高分子添加剤と環境対策、大勝靖一
車田知之:マテリアル学会常任理事、元三共株式会社特品開発部
部長代理
旧旭電化工業株式会社データ
日本化学会、高分子学会「高分子添加剤の新展開」
以上)
参考になれば幸いです。
追記)ラジカルを補足するのは下記で説明できます。
>NO・+R・→>NOR
これで安定化します。これはビタミンEのトコフェロールや
酸化防止剤BHTでも同様です。ラジカル状態で代謝や
揮発は起こりません。又、質問者様が曰く共鳴をとるものを
BHTで置き換えて合成した化合物についてはアリル共鳴より
BHTの約4.7倍の抗酸化を示し、既に「化学工業日報」で
紹介されております。又、BHTはOH基のある隣のo-位に
tert-ブチル基があるのが一般的です。住友化学株式会社の
スミライザーGMという酸化防止剤でもBHTを真似て合成したもの
です。ですので質問者様のおっしゃることは正しいです。
この理由は酸化防止剤同士の相打ちの防止と酸化防止剤の
活性を高める為です。添加剤メーカーは工夫をしているのです。
その手の話でよく出てくるのが抗酸化活性ですけど、当然のことながらいわゆる活性酸素をトラップすれば酸化されることになります。基本的にラジカルは不安定ですので、酸化生成物が代謝されることになるんじゃないですか。
>より良いラジカル補足剤として働くために、分子内電子共鳴や立体障害が重要であるということを良く聞きます。
まあ、これはどうでしょうか。あまりにも曖昧すぎて、かつ断片的な話なので何とも言えません。
>それとも分子内開裂を起こすのか・・
これも「分子内開裂」の意味が曖昧なので何とも・・・
そもそも、反応が起こるわけですから、基質の分子内のいずれかの結合が切れるのは確かです。ただし、ポリフェノールやビタミンEがラジカルを補足して、あるいは活性酸素と反応して、一気にバラバラになってしまうようなことは起こらないでしょう。それでもビタミンEであればC-C結合の切断が起こる可能性はあります。
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